• 土地合筆登記(トチガッピツトウキ)
  • 数個の土地を合わせて一つの土地にする登記です。つまり数部登記簿から1部にする事です。

    一番必要に迫られるのは、不必要に地番が分かれている場合の整理に使います。
     例えば『田』の字を書いて見て下さい。田の字をあなたの地所全体の見取り図として考えて下さい。
    この地所の真ん中に家を建て住んでいたが、売却する事になったので田の字全体を測量してみたら、かなり
    登記簿の面積よりも増えていたので、登記簿の面積を直す地積更正登記したい場合、この土地は4つの『口』
    という字で形成されてますので4つの『口』の字型の土地が登記簿に別々に地積が記載されているわけです。

     さてそもそも登記簿の地積より実測して増えたというのは何故わかったのでしょうか?
    それはこの4区画の地積の合計したからです、ではどの区画がどれだけ増えたか特定できるでしょうか?
    4区画各々の境界から測ればわかりますが、自分の地所内の境界というのは、ほとんどの地主さんは意識していないのではないでしょうか?
     また仮にわかったとして各区画ごとの面積を地積更正するのは登記申請や測量の手間も4個分かかりよけ
    いに費用がかかるだけでまったく意味がありません。

    そのような場合はこの4区画を一つに合わせる、つまり田の字から大きな口の字ひと文字に(田→口)
    してから、地積更正登記をすれば一つの申請で済む事になるのです。
     
    合筆登記の怖いところ  
    以前合筆登記の登記を依頼された時、補助者に建物の調査はしなくていいんですよね・・
    というやりとりがあった。土地を合わせるだけの登記だから土地の調査だけでいいか・・・と思う
    ようでは土地家屋調査士はつとまらないのです。
    合筆するには両方の登記簿に記載されている事項で一定の一致がないとすることができません。
    これを合併の禁止事項といいます。
    ①所有名義のことなる合筆
    ②地目を異にする合筆
    ③地役権の登記がある要益地の合筆
    ④持分が異なる共有土地の合筆
    ⑤制限的権利の有する土地、所有権の登記のない土地の合筆
    ⑥無効登記の存する土地の合筆
    ⑦共同抵当の関係にあって、登記原因や受付番号を異にする土地の合筆
    ⑧抵当財団を組成する土地の合筆
    ⑨仮登記のある土地の合筆
    ⑩予告登記のある土地の合筆
    ⑪字(あざ)を異にする土地の合筆
    ⑫接続しない土地の合筆
    以上が不動産登記法上の合併禁止事項のことで、これが全部クリアーされれば登記自体は通ります。
    が、気をつけなければいけないのは、合筆しようとする土地の上に土地の所有者以外の建物登記が
    あった場合、借地借家法10条により、賃借人は借地上に自己の建物を建て、その登記をすれば土地
    に対して、賃借権の登記がなくても、土地の賃借権を第三者に対抗することができる。
    とあります、つまり土地の登記簿にまったく記載されていなくても、建物の登記簿の記載によって、
    合筆して土地が広がってしまえば、合筆した全筆に賃借権が及んでしまうと誤認させてしまう可能性があるのです。土地の権利の明確化のために存在する土地家屋調査士としては、
    後に問題の火種を残すようなことは、あってはならない事です。
    結論としては合筆したからといって土地に賃借権の登記があるのと同等ではないので、
    「賃借権の土地が広がった」という事にはならないのですが、賃借権の範囲がきわめて不明確になる事はさけられないでしょうし、相続が繰り返されればどうなるのかはまったく疑問です。
    この点を考慮すると合併禁止事項への法整備が必要だというのが私の見解です。

    さらに付け加えると、合筆登記の登記済証は権利の登記済証(権利書)ですから
    取扱いには充分注意して下さい。

    <準備するもの>
    ○相続の関係で合筆する場合は相続関係がわかる戸籍謄本等、わからなければこちらで調べますが
     実費がかかります。
    ○あわせるいずれか一つの登記済証(権利証)、印鑑証明書
     概算費用40000円~60000円