• 区分建物合体登記(クブンタテモノガッタイトウキ)
  • 私は土地家屋調査士の国家試験の勉強中に『こんな登記の依頼くるはずが無い』と思っていました
    が、けっこう都内、23区内ではあるんですよね。・・この依頼、さて前置きがながくなりましたが
    区分建物合体登記というのは、隣接する区分建物の障壁を除去(取毀)して
    構造上、利用上一つの建物になった場合する登記です。
    この分譲マンションの壁を壊して一つにするなんていうのは、大変衝撃的な登記かも知れません。
    この登記も壁を除去してから一月以内に登記する義務があります。
    ところで、このような壁を壊すという行為は区分建物に関する法律ではどう解釈するのかがむずかしい
    ところです。分譲マンションというのは、廊下、階段といった共用部分と各所有者の区画たる専有部分で構成されています。では壁は専有部分なのかというと、実は区画壁は共用部分なんです。
    これが共用部分なのか共有財産という意味かについては深いところで、つまり隣との共有物なのか
    マンション全体の共有物なのかという問題も出てきます。
    それはともかく、登記は現状の壁が除去され、利用上、構造上一つになっていれば登記可能です。
    ここからは私の見解ですが、区分建物の床面積というは区画壁の内側で測って算出されているのです。区分壁厚は大体12~15センチ前後の幅があるわけですから合体の登記するだけで
    『壁厚面積もれなくプレゼント』みたいな形になってしまい、なんだか不公平な登記だなと思います。
    それでいて、隣接区画という規定であるなら上層階との合体だってあるはずです。
    しかし縦型の合体登記には『壁厚プレゼント』はありません。なぜか、それは不動産の登記は
    水平投影面積つまり高さについては記載されないからです。
    これを読んで「よし!壁厚面積プレゼントを・・」と思っているマンション所有者の方にひとつだけ注意があります。マンションに限らず建物には構造上、壊すことが出来ないものがあります。
    柱で建物を支える『ラーメン構造』、壁で建物を支える『壁式構造』というものですが、
    壁式構造の『構造壁』を壊せばどういう事になるかは・・おわかりですよね、壁厚プレゼントどころか
    建物が傾いたらとんでもない事になりますので、是非建築士の方に鑑定してもらう事をお勧めします。
    もし構造壁で仕切られてたら壁厚プレゼントは無理なのか・・?
    その場合は建物合併登記があります。
    ところでこの区分建物合体登記は二つの建物をその間の障壁とを合わせて、新しい建物が生まれた
    という理論から、昔の分かれていた建物は一度抹消して、新しく登記をし直すをいう形をとります。
    したがって、登記の正式名称は区分建物表題登記及び合体前の区分建物の表題登記抹消
    となんとも長ったらしいものになります。
    ここでは『わかりやすく』するために区分建物合体登記と記しています。

    つまり、絵の具を想像してください、青色の建物と黄色の建物を合体して、緑色の一つの建物になったと考えれば、青色建物が緑色に変更したものでしょうか?それとも黄色建物が緑色に変更したものでもしょうか?、そんな事断定できませんよね、ならば、古い建物は一度両方とも抹消して
    緑色でもう一度登記し直せばよい、というのを表記すると
    区分建物表題登記及び合体前の区分建物の表題登記抹消となるわけです。

    <準備するもの>
    ○相続の関係で登記する場合は相続関係がわかる戸籍謄本等、わからなければこちらで調べますが
     実費がかかります。
    ○壁を壊した工事日が特定できる参考資料があるとよい(工事代金領収書等)